産休育休がない時代、長女出産後は仕事を辞めるしかなかった。子育てしつつ働くには開業しかない、と次女の出産と同時に開業。このころ義父の介護と同居もはじまり、奨学金返済や経営の不安、勉強、育児を続ける中、全頭型の円形脱毛症になり髪がすべて抜け落ちた。ウィッグ姿で子どもを保育園に預け働く毎日。辛くて、辛くて、運転しながらよく泣いていた。

唯一の救いは子どもの笑顔だったが、患者さんの「ありがとう」にも癒やされた。私は社会の中で育てていただき、すべての経験が糧となった。いまは感謝であふれ、口の中から身体の軸を整える技術を次世代につなぐことをはじめている。軸が整う着物を着て、毎日を楽しみながら。